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前へ-胆振東部地震被災地の人々

(3)被災後も販売に奔走 厚真町のハスカップ農園代表・山口善紀さん

2019/1/9配信

 「果樹栽培ではこれが一番大事」

 昨年12月上旬、厚真町宇隆のハスカップファーム山口農園。雪深い畑で、ハスカップの木の状態を1本ずつチェックしながら、はさみで不要な枝を手際よくカットしていた。春に備えた剪定(せんてい)作業だ。

 3・3ヘクタールの畑には5000本が植えられていたが、胆振東部地震で裏山が崩れ、0・3ヘクタール、500本が土砂に埋まった。辛うじて埋没を免れた木々は一時的に抜かれ、土砂を囲う土のうの脇に無造作に置かれていた。根が乾くと枯れてしまうが植え直す場所もない。土砂が撤去されるまでは苗木を育てるスペースに仮植えし、急場をしのぐ。

 稲作と畜産の兼業農家の長男として、同町で生まれ育った。三重県内の製紙会社の研究所で働きながら病気がちだった父の稲作を手伝うため、毎月のように帰省する日々を送った。父が亡くなり、2005年に農業を継ぐ決意をし農園の5代目に就任。健康ブームを背景としたハスカップ人気の高まりに着目し、特産品のハスカップで日本一の農家を目指すことにした。

 農業改良普及センターの協力を得ながら独自の品種づくり、ブランド化へ試行錯誤を重ね、09年12月、「あつまみらい」「ゆうしげ」を品種登録。地元農家については初回購入後の苗木増殖を自由としたこともあり、町内のハスカップ農家は100軒を突破。同町は13年に作付面積日本一となった。地域おこしへ、果実を使ったジャムやスムージー、アイスなどの加工品販売を一層強化。観光客が町内をハスカップ狩りに訪れるようになるなど取り組みが軌道に乗り始めた矢先の大地震だった。

◇    ◇

 被災したハスカップ農家への義援金の受け皿として昨年10月、札幌の慈善団体の協力で「ゆうしげの会」を発足。各方面から寄せられた善意で苗木購入を支援する。菓子メーカーのもりもと(千歳)もハスカップを用いた商品の売り上げの一部をとまこまい広域農協を通じて寄付することになり、「厚真町ハスカップ部会厚真産ハスカップ苗木震災義援金」口座を開設した。

 町内のハスカップ約4万本のうち5分の1が駄目になったが、こうした応援も背に震災前以上に産地として地域を盛り上げていきたいと考えている。震災から1カ月後には移動販売を再開。テークアウトで商品を提供する店舗も町内に構えた。

 昨年9月19日から6日間、丸井今井札幌本店で開かれた「北海道味覚マルシェ」に出店。ハスカップジャムと牛乳で作ったスムージーを販売した。同年12月には松坂屋上野店(東京)での北海道物産展でスムージーやソフトクリームを売り、名産をPRしてきた。

 ハスカップの知名度、需要を高めていくことが、農家の希望や誇り、復興につながると信じている。「厚真は寒さが厳しく、果樹が育ちにくく、困難は続くかもしれないが、強く生きるハスカップのように乗り越えていきたい」

(松原俊介)

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