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被災地はいま-西日本豪雨・倉敷市真備町

(下)1345人が避難生活 芸能人の来訪に笑顔

2018/8/17配信

 ボランティア活動翌日の10日、倉敷市真備町内の小学校に設置された避難所を訪れた。

 17日現在、222人という倉敷市内でも最大の避難者を抱える岡田小。エアコンで過ごしやすい室温に保たれ、被災者の多くが日々を過ごす体育館には、布製のカーテンで仕切られた四角形の個室がずらりと並んでいた。

 世界的建築家の坂茂さんが代表を務める設計事務所とNPO法人が7月中旬に設置した避難所用・紙の間仕切りシステム(PPS)。紙管のフレームと布を組み合わせてプライベート空間が確保できる造りだ。1人につき約1・5畳分を確保でき、世帯人数に応じて自在に広さを変えることが可能。高さ30センチほどの段ボールベッドも敷き詰められていた。

 7月7日午前に真備町東部の川辺から妻と共に避難してきた宮田忠義さん(78)は、「最初は板の上に雑魚寝だったけど、とても過ごしやすくなった」と言う。ただ、避難所生活が長くなるにつれて「天井が見えるだけで、だんだん圧迫感が出てきた。ぜいたくは言えないんだけど」とも語った。

 川辺の自宅は2階の床上30センチほどまで浸水。親戚などが協力してくれたかいあって、片付け作業は順調に進み「正月前には戻れそう」。8月中に倉敷市内のみなし仮設住宅に入居する予定で、「待ち遠しい」と声を弾ませた。

◇   ◇

 岡田小から西に2キロほど離れた薗(その)小学校にも出向いた。「避難生活は慣れてはきたけど、疲れもたまってる」と60代の女性は元気なく語る。段ボールベッドの上で力なく横たわる避難者も多くいた。「殺伐とした雰囲気はだいぶ落ち着いてはきた」と同避難所の妹尾栄治サブリーダーは言うが、どことなく重苦しい空気が漂っていた。

 「本物だ!すごい!」。体育館外から元気のいい声が聞こえた。子どもたちの目線の先には、地元岡山県出身の人気お笑いタレントで自身の実家も被災したブルゾンちえみさん。休日を利用して真備町内のボランティア活動に参加。その合間を縫って薗小を訪れたという。

 思いがけない来訪者に避難所が大きく沸いた。薗小3年の石井悠大君(9)は、真備町有井で被災。逃げ遅れ、家族と共に2階ベランダから助けを求めていたところに自衛隊の救助艇が駆け付け、難を逃れた経験を持つ。母親によると救助直後に泣き崩れた後は、感情をあまり表に出すことがなかった。「とてもうれしかった。元気が出た」。この時ばかりは笑顔が弾けた。

 「一緒に頑張ろうねと声を掛けて回りました」とブルゾンさん。写真撮影やサインにも快く応じた。「岡山の人たちは根がとても明るい。思っていたよりもみんな元気でうれしかった」

 仮設住宅への入居や、親戚、知人を頼って退所する人が増えてはいるが、災害から1カ月以上が過ぎた17日現在も岡山県内では1345人が避難所生活を強いられている。災害派遣の医療、福祉チームによる心身のサポートなど、「避難者のケアは充実してきている」と岡田小の佐藤弘副責任者は説明したが、西日本豪雨後の避難先で死亡する事案も発生している。

 先の見えない避難生活によるストレスや疲労などが原因で命を落としてしまう「災害関連死」は、2011年の東日本大震災以降、大きな課題となっている。被災者支援のさらなる充実が迫られている。

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