11

22(水)

胆振の
明日の天気

曇り後雨

8 / 1

進む公立化議論-変わる千歳科技大-

(中)注目される財務運営

2017/11/10配信

 ■予測難しい地方交付税交付金
 
 千歳科学技術大の公立化をめぐった議論の中で注目されるのが財務運営だ。「市の負担は大丈夫なのか」―。大学側が市に公立化の要望書を提出した当初、市議会議員からそんな声が聞こえてきた。同大は2007年度から事業活動収支で1億~2億円規模の赤字が続いている。
 
 科技大が公立化した場合、学生の授業料は年間約136万円から約54万円に引き下げられる。ただ設立者の市が大学の運営費を一般会計の歳出に計上し、負担していくことになる。
 
 10月にあった千歳市議会の決算特別委員会での質疑の中で市が大学の運営費を負担する代わりに増加する地方交付税交付金について、市は「予測しづらい」と説明した。
 
 市財政課によると、科技大が公立化すれば市の地方交付税交付金が理論上は増えることになる。「学生の人数×単位費用」で算出した金額が「大学費相当分」として上乗せされる。
 
 ただ、地方交付税交付金は、土木費相当分や教育費相当分などさまざまな要素で構成されており、実際に交付される金額は不透明。国の地方財政計画の影響も受け増減しており、現状「単位費用」は減少していく方向にある。
 
 ■市の負担金に”上限”
 
 科技大は8月7日、市議会の「千歳科学技術大学の公立化に関する調査特別委員会」の中で、19年度に公立化した場合の28年度までの財務推計案を明らかにした。案の中では市の運営負担金額に上限が設けられていた。
 
 上限額は年間12億~14億円と推計できる地方交付税交付金の「大学費相当分」。試算によると大学の運営に必要な費用は年間15億~19億円で、学費などの自己収入は年間約7億円。自己収入で賄い切れない不足分の9億~12億円を市に負担してもらうものだ。
 
 「市の負担がどんどん拡大するわけではない、という大学からの論理的なメッセージ。不安を取り除く要因の一つになった」と捉える市関係者がいた。「学生さえ確保できれば、財務運営はクリアできる」
 
 ■市が方針表明、最終議論へ
 
 千歳市の山口幸太郎市長は10月25日、同大を公立化する方針を示した際に「市民負担、一般財源への大きな影響はない」と語った。交付税額を上回る負担が発生した際には「経費削減や授業料を増やすなどで収支改善を求める」との考えも示した。今後も最も丁寧に説明していく部分と強調した。
 
 市議会は市の方針を了承するか、しないかの判断をするための議論の準備を進めてきた。一環として、「千歳科学技術大学の公立化に関する調査特別委員会」(佐々木雅宏委員長)が10月31~11月1日、本州の大学2校で行政視察を行った。
 
 14年度に公立化し堅調に経営する、新潟県の長岡造形大学を視察。委員らの関心は「大学の負担について、市の財政への安全担保はどうしているか」に集まった。設立者である長岡市の担当者は「予算として計上するので市議会の議決を得なければならない」と述べ、条例を制定した上で市の付属機関として設置する「評価委員会」が大学の経営内容を確認する”安全装置”が働くことも説明した。
 
 これら先行事例を基にした調査特別委員会の公立化をめぐった議論が注目される。

週間ランキング

集計期間 11/15〜11/22

お知らせ

受付

苫小牧民報社から