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岩倉丸の針路-苫小牧市長4期目の航海

(中)実現へ求められる財政手腕

2018/7/26配信

 岩倉博文市長が4期目の公約に反映した三つの成長戦略がある。ものづくり産業のさらなる集積、臨海ゾーンのロジスティクス(戦略的物流)の構築、そして臨空ゾーンでの国際観光リゾートの展開だ。市が観光や物流、ものづくり産業の振興に主体的に動き、まちの発展につなげる姿勢を示したものだ。

 6月には、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)を核にした国際リゾート構想を公表。新千歳空港に近い植苗地区の自然景観を生かしたリゾートエリアを形成し、観光振興や雇用創出、地域活性化を図る政策だ。市は調査事業関連で5000万円近くの予算を投じ構想を取りまとめた。

 今月、国会でのカジノ実施法成立を受け、「人口の減らない街を目指すための構想を進める上で大きな一歩」と岩倉市長。苫小牧への誘致実現に期待を強めているものの、市民の間では、カジノによるギャンブル依存症などへの懸念もくすぶっている。市は誘致への市民理解を得る取り組みを一層進める考えだが、岩倉市長自身が何を持って市民理解を得たと判断するのか、不明瞭なままだ。

    ■   ■

 国際港湾・苫小牧港を生かした物流戦略に関しては、民間主導ですでに新たな動きが本格化しつつある。港湾運送・倉庫業の第三セクター苫小牧埠頭などが出資する「北海道クールロジスティクスプレイス」は、苫小牧港・東港近くの弁天地区で大型冷凍冷蔵倉庫の建設計画を立ち上げた。

 同倉庫は道内最大級の2万200トンの収容能力を持ち、食品の鮮度を維持できる温度、湿度、大気組成調節ができるCA冷蔵庫や急速冷凍庫などを導入。道産食材や加工品などを受け入れ、長期保管による出荷の平準化や国内外への安定供給体制を整え、海外でも需要が高まる道産食品の輸出拡大や高付加価値化を狙う。

 年内に着工し、2019年度上期の稼働を予定する同倉庫の利活用を見据え、苫小牧埠頭は北海道大学と株式会社苫東と共に発起人となり、苫小牧東部地域(苫東)の食産業基地構築に向けた産学組織も設け、議論をスタートさせている。

 北海道クールロジスティクスプレイス代表の橋本哲実苫小牧埠頭社長は「新しい物流モデルをつくるための挑戦になる。産業構造が変わる中、リスクがあっても切り開かなければいけない。幸いこの地域には良い条件がそろっている」と意欲を見せる。

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 苫小牧港と新千歳空港のダブルポートを抱え、高速道など道路網も整備された苫小牧の交通アクセスの優位性。それに目を向けた企業の苫東進出が続いている。近年、トマトやイチゴなどを生産する植物工場や道産そばの製粉工場が相次いで立地。ホームセンターを全国展開するコメリ(新潟市)は4月、道内各地の店舗に商品を供給する巨大な物流センターを開設するなど、動きは活発だ。

 食産業をはじめ多様な企業が集まってきた苫東。ものづくりを中心とした産業集積や臨海ゾーン・ロジスティクスの構築を成長戦略に位置付ける市は、民間の動きを生かしてどう戦略を練っていくのか、まだ見えないのが実情だ。

 市内の物流関連企業の経営者は「市の動き方次第で民間の意欲をさらに引き出せる可能性がある。産業構造の変化はまちづくりに大きく関わる問題であり、市としてもっと積極的な姿勢を示していくべきだ」と注文を付ける。

 一方、4期目公約と共に示された今後4年間の財政見通しは厳しい内容だ。市税や交付金の収入は横ばいながら、社会保障の扶助費や公債費などが膨らみ、政策事業に充てる予算43億~47億円の一般財源の確保に基金の取り崩しが常態化する。市幹部の一人は「今後の財政運営は従来の発想を変えないと、公約の実現が難しくなるだろう」と言った。人口減で難しくなる税収確保の観点からも、成長戦略をどう実現させていくのか―。岩倉市長の手腕が試されている。

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