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国際観光都市を目指して-苫小牧IR市民セミナーから-

(中)あずさ監査法人パートナー公認会計士 小林篤史さん

2017/7/14配信

 ■訪日外国人増加に期待

 日本では昨年12月、IR推進法が公布された。観光や地域振興を目的とした基本理念の枠組みで、どんなIRを導入するかはIR実施法で示される。国は今年12月の実施法制定を目指し、4月にIR推進本部を設置。安倍晋三首相を本部長にカジノに詳しい学者、観光分野の専門家、弁護士などが実施法の論点整理を行っている。

 IRはカジノ以外に国際会議場やレクリエーション施設、展示施設、ホテルなどカジノ以外の「ノンゲーミング」と呼ばれる施設が統合的に運営される。日本の観光立国に向けた競争力のエンジンであり、訪日外国人の増加を加速させる役割が期待できる。

 日本には今、富裕層に対する観光施設などがほとんどない。(IR利用者全体に占める)富裕層の割合は少ないが、1人当たりが落とす金額は大きい。長く滞在してもらえるIRリゾートを造ることが、日本の富裕層観光の強化につながる。

 ノンゲーミング施設だけでいいという考え方もあるが、IRはカジノとのセットが基本。整備に投資した金をカジノの高収益で回収するという考え方で、独立採算運営が難しいエンターテインメント施設や国際会議場などノンゲーミング施設とカジノを相互補完し、一体的に運営することでうまくいく。

 日本は先進国最後のIR最大市場。さまざまな事業者が参入を考えている。運営は民間が行うが、自治体も規制などで重要な役割を担う。カジノの収益には税金と別の納付金が科せられるが、これを観光振興など広域的な目的で市民に還元される仕組みもある。

 ■負の影響対策がポイント

 カジノに関しては、負の側面を否定できない。犯罪関係では、いかさま行為やマネーロンダリング(資金洗浄)、反社会勢力の介入、ギャンブル依存症、青少年への影響、地域の環境悪化などが挙げられる。これらの負の部分を上手にコントロールできるかどうかがIR導入のポイントになる。

 米国ラスベガスでは、マフィアをカジノ経営から完全に排除し、上場会社が運営するクリーンな産業になっている。シンガポールでは対策によってギャンブル依存症の割合が下がっている統計データがある。依存症対策で自ら厳しいルールを科す事業者もある。負の影響をゼロにすることは難しいが、許容できる範囲まで懸念を減らしていく取り組みが海外では行われている。

 日本はIR最後発国であり、政府が世界の規制の動きについて情報を収集し、世界最高水準の規制を導入する方針を明確に示している。

 海外では、青少年やギャンブル依存症の人の入場を制限したり、入場料を科すところもある。日本でも反社会的勢力の排除に向けて、IR事業への参入業者には厳しいライセンス審査が科されるだろう。

 ■重要な役割を担う自治体

 日本のIR設置場所は2、3カ所と想定されている。都市型と地方型があるが、地元住民の理解がないと導入は難しい。北海道では苫小牧市以外に釧路市と後志管内留寿都村が誘致を目指している。

 候補地採択の前提としては、参入を希望する事業者からの提案を受けて自治体が事業者を選定。地域議会の合意を得て、事業者提案とセットで国に区域認定を正式に申請する。

 その後、国が事業者のライセンス審査などを行い、開業という流れになる。地域の合意形成には自治体が関わる必要があり、非常に重要な役割を担うことになる。

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