5

21(月)

胆振の
明日の天気

晴れ

22 / 10

青さえる~氷濤まつり40年

(8)若い思い 湖の深い趣き表現

2018/2/9配信

 ◇進化の志

 以前、洞爺湖で遊覧船運航業務に当たっていた頃、観光客と会話を交わす機会は少なかったという。「今は氷像を『どう作っているの』とよく聞かれる。『支笏湖の水を24時間骨組みに吹き付けています。私たち13人で作りました』と自慢げに答えたら、みんな驚きますね」と、佐藤智治(41)は充実感をにじませる。

 現在は支笏湖畔のボート店に勤務。冬場の氷濤制作スタッフとして4年目を迎えた。最初は分からないことだらけ。厳しい寒さの中、教えてもらいながら氷と格闘した。「今でも余裕はないけれど、やっとついていけるようになりました」と笑顔で話す。

 前の職場では寒い日に「嫌だな」という感覚を覚えた。「今では寒気が来るとわくわくします」と心構えは変わった。「今と同じではなく、どんどん進化していけたらいい。氷濤まつりにはリピーターも多いので、同じ内容の繰り返しではつまらないでしょうし」と、次の冬の会場づくりに思いをはせた。

 ◇まつりの魅力

 札幌市出身。支笏湖に魅せられ2011年に、カヌーを中心とするアウトドアのガイドハウスを湖畔に開いた松澤直紀(32)は、制作スタッフに誘われて同年、制作陣に加入した。プロのガイドは語る。「氷濤まつりは湖の見せ方の一つ。まつりの魅力は湖そのものの魅力です」

 青く美しく、ときに峻厳な湖の深い趣きを伝えたい、多くの人に楽しんでほしい―。そんな思いを胸に取り組む氷濤制作は春~秋の仕事よりも体力勝負だ。「その分の達成感がありますね。まるで学校祭みたい」。まつりに関わってから、湖畔の人たちとのつながりはより強くなった。「地域を盛り上げることに重きを置いて、制作を続けたい」と言う。

 制作を進める上で、こだわりがある。氷像の仕上がりには「納得」を求めてきた。「40年かけて積み重ねた技術と経験を氷像の新しい形にするのは面白いですね」。湖の波を表現する氷。技の「継承」と「変化」を同時に刻もうと挑んでいく。

 ◇背中を見て

 中学生の頃、防寒着を身に着けた父の姿を「かっこいい」と感じた。冬は連日夜遅く帰宅する姿に、制作の厳しさも知った。背中を見て「力になりたい。そう思いました」と小林拓也(24)は振り返る。

 東京と千歳市内で美容師として働いた。体調を崩して退職後、父で会場制作管理部長の典幸(49)が営む貸しボート店兼飲食店で働く。16年から制作スタッフ一員となった。

 いざ現場に立つと過酷さは想像以上。制作技術の細やかさにも触れ、父と仲間たちが考え抜いた凍らせ方や骨組みの構造に感嘆しながら「よく思い付いたなと思います」。

 自身が手掛けた氷像に、わが子のような愛着を感じるようにもなった。「まずは周囲のまねをして、作業が完全にできるようにしたい。自分なりの氷像作りはその後です」。氷濤制作の技を担う若い世代は心に決めている。

 「地域を何とか盛り上げたい」―。40年前にまつりを創始した先人たちの思いを担う現スタッフ。厳寒のイベントはこの先の冬も継承されていくだろう。

(敬称略、終わり)

=連載は平沖崇徳が担当しました=

週間ランキング

集計期間 05/14〜05/21

お知らせ

受付

苫小牧民報社から