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震災の教訓 胆振東部地震から3カ月

(1)土砂災害で36人犠牲 救助要請殺到も「到着できない」

2018/12/7配信

 全道で41人が犠牲になった胆振東部地震の発生から6日で3カ月を迎えた。本道で初めて震度7を観測した厚真町では36人、苫小牧市で2人、むかわ町で1人などの尊い命が奪われ、多くの住宅や地域産業にも被害が及び、その影響は今も続いている。着実に復興の歩みが進む一方、今後の暮らしに不安を抱える地域住民は少なくない。自然災害から何を学び、今後どう対応していくべきなのか―。これまでの出来事を振り返り、課題と教訓を探った。(全5回)

 ■想像を絶する災害

 「なぜこれほど大きな災害が厚真で起きたのか…」。地震直後、真っ先に現場に向かった胆振東部消防組合厚真支署の救助隊員、小納谷大蔵さん(38)は震災で失われたものの大きさを改めて実感していた。

 厚真町で生まれ育ち、札幌の高校を卒業後、故郷に戻って憧れの消防士になり、地域を守ってきた。地震が起きた9月6日は救助要請があった吉野地区に緊急出動。普段はわずかな時間で到着できるルートが土砂崩れで通行できず、周囲も停電で見渡せない状態。知る限りの裏道を行き来しながら、無線機のマイクを強く握り「現場に到着できない」と本部に訴えた。

 同じころ、厚真支署は騒然としていた。被害の全容が見えない中で「土砂崩れで人が埋まっている」「家族を助けて」など救助を求める119番通報が殺到。その対応と情報整理に混乱を極めた。土砂崩れ現場を確認できたのは日の出から間もない午前5時ごろ。小納谷さんは「想像をはるかに超え、とにかく焦りばかりが募った」と、男女36人が土砂にのみ込まれた惨事を振り返る。

 道が航空写真や衛星写真で行った土砂崩れの調査によると、22市町が森林被害を受け、山林の斜面崩壊や林道損壊などの面積は4302ヘクタールに及んだ。このうち厚真町は全体の7割以上を占める3236ヘクタール。被害が集中したことを物語る数字だ。

 ■過去からの学び

 厚真町は毎年9月になると収穫時期を迎えた水田の稲穂が黄金色に輝く。1年の中でも特に美しい風景が広がる時期だ。その大切な農地が山間部を中心に崩落した土砂で覆われ、田園風景が一変した。

 とまこまい広域農業協同組合によると、厚真町で今年作付けした水田約1500ヘクタールのうち、約230ヘクタールで収穫を断念した。田んぼに流入した土砂の撤去や損壊した道路、農地、用水路の復旧など課題は多いが、来年の営農に向けて急ピッチで作業が進んでいる。明治以降では最大規模とされる森林被害も道を中心に3町と国、研究機関や関係団体でつくる連絡会議で復興に向けた検討が始まった。

 復旧活動が着実に進む一方、事前の備えも大きな課題だ。厚真町では土砂崩れが起きた幌内地区で3000~4000年前の地滑りの痕跡が見つかっている。町教育委員会が2002年から行っている遺跡の発掘調査の中で判明したもので、調査に携わった江別市の地質研究者田近淳さん(64)は地震で起きた可能性が大きいと説明する。こうした情報を共有できていれば被害はもっと軽減できたのではないか―。研究者たちはそんな思いも募らせている。

 突然起きる自然災害にどう立ち向かうか。被害を最小限にとどめるためにも過去から学び、備えていく視点が求められている。

(胆振東部地震取材班)

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