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(7)古紙の価格高騰に懸念 王子製紙苫小牧工場・植村彰彦工場長

2019/1/15配信

 製紙業界は近年、市場の縮小傾向が続いている。苫小牧工場の主力生産品目である新聞用紙は2018年の年間生産量が前年比で約5%の落ち込み。新聞離れや広告もインターネットにシフトし、さらに人口減少の進行も加わり、需要の落ち込みは今後も続くとみている。

 一方、段ボールなど板紙の業界動向は通販や海外需要が後押しし、依然として好調だ。トイレットペーパーなどの家庭紙は、訪日外国人の増加に伴うホテルやショッピングセンターの需要が伸びており、ここ数年は順調だったが、昨年はややブレーキがかかった。原料の古紙価格が高騰したことも背景の一つで、他の用紙生産にも響いている。

 現在の古紙の価格は昨年春と比べ2倍近くまで高騰。紙生産国としては世界第2位の中国が米国からの古紙輸入を制限し、品質の良い日本の古紙を積極的に輸入しているからだ。中国にはパルプ工場がほとんどなく、古紙やパルプは輸入に頼っている。中国が今後も米国の古紙輸入を制限する限り、日本の古紙は値上がりが続くと懸念している。

 当工場は、他の生産拠点に比べて使うパルプの種類が豊富なのが特徴。メインの新聞古紙をはじめ、丸太や木材チップなど7種類も原料がある。本のデザイナーなど、当工場の紙造りへのファンもおり、毎年のように見学に来る人もいるほどだ。この豊富なパルプを生かして品質を維持しつつ、古紙を別の原料に置き換える工夫もしているが、限界がある。紙需要は先細りで、原料コストも上昇している現在は本当に厳しい状況だ。

 苫小牧工場の水力発電所は千歳川、尻別川、漁川(いざりがわ)の3河川に計9カ所あるが、このうち5カ所以外はすべて売電専用にした。胆振東部地震に伴う大規模停電で工場自体も電力がストップしたが、水力発電所が約2時間後に稼働。北電の要請に伴い電力供給にも対応したが、必要最小限の電力は確保しておいて段階的に工場を立ち上げた。異常気象が多い昨今、危機管理体制の一層の強化は今後さらに課題になるのではないか。

 従業員の技能継承も10年近くにわたり大きなテーマになっている。経験年数別に必要なスキルを「見える化」し、指導役を付け、教育する仕組みをつくるなどしてきた。勤続10年未満の社員が3~4割を占める職場もあり、技能伝承は工場の運営を左右する大きな要素だ。今回の震災のように突発的な事態でも大きなトラブルはなく、今までの教育の成果と感じた。昨年は死亡災害はなかったが、協力会社で休業災害が4件あった。基本ルールの順守を徹底し、災害ゼロを目指したい。

 北海道大学卒。1978年に王子製紙入社。苫小牧工場勤務が長く、2013年に新聞用紙事業本部副本部長兼苫小牧工場長に就任。徳島県阿南市の富岡工場長を経て、17年4月から再び苫小牧工場長となった。江別市出身。64歳。

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