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(5)植物工場の進出期待 株式会社苫東・伊藤邦宏社長

2019/1/11配信

 胆振東部地震による苫小牧東部地域柏原地区の被害は軽微だったが、埋め立て地の臨海地区は液状化が多数発生した。水道も1カ月ほど止まり、社員が水をタンクで各企業に運ぶなどの対応を取った。下水管も傷んでいるところが多く、この1、2年は復旧工事で大きな支出が必要。決算にも影響するため、株主には大変申し訳ないが今年は配当額を減額せざるを得ない。

 今回の地震を通じ、苫小牧港はその機能の高さが注目された。震源地に非常に近いところにありながらも港は早期に復旧。救援や支援物資など人や物の輸送に即応した。重要性を改めて認識するとともに、核になる拠点としてクローズアップされたと思う。災害に強いという意味で苫小牧地区は非常に優れている。震度6弱の揺れが起きた苫東柏原地区も被害は軽微で、電力供給も復旧が早かった。災害に強いという側面をセールスでも活用している。

 昨年は臨海地区の弁天で苫小牧埠頭の大型冷凍冷蔵倉庫が着工した。一般的な倉庫は顧客を確保した上で整備されるが、同社の大型倉庫はこれからセールスするというユニークな手法で、拡張性が高いという特徴もある。近年の苫東は食産業から関心を集めており、進出を検討する企業もある。実現に向け、道や市の協力も得て加工や物流など幅広い視点で立地につながるよう働き掛けを強めたい。

 昨年から自動運転技術の実証実験も始まった。積雪寒冷のフィールドで苫東は環境が整っており、地の利がある。全国各地でさまざまな研究が行われているが、弊社の敷地内なら安全性を確保した環境で一般車道を想定した走行試験が可能。こうした利活用も呼び掛けながら正式な試験場に認定されればうれしい。

 最近注目しているのは、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)だ。実現した場合、数千人単位の雇用が生まれ、住宅問題という課題が浮上する。当社の分譲地は工業用地だが、新たな需要に対応できるよう用途変更などの可能性も考えられるのではないか。物流も同じだ。苫小牧港・西港は今の段階で混雑しており、拡張するなら東港しかない。明確な需要が見込めるならば国の対応も期待できる。

 もともとはものづくり系の企業誘致が中心だったが、近年はその動きが変化し、メガソーラー(大規模太陽光発電)や食品関連企業の進出が目立つ。今後は大型冷凍冷蔵倉庫という施設を核にその動きがさらに進むだろう。中長期的にはエネルギー産業の進出もあるのではないか。

 個人的には植物工場を増やしたい。高度な技術を活用したスマートアグリ技術が構築されており、苫東にそんな工場がずらりと並んでもおかしくない。広い土地を多様に活用してもらえるよう今後も取り組みたい。

 京都大学法学部卒。旧北海道拓殖銀行を経て1998年に北海道に入庁。経済部観光局長、環境生活部長、企業局公営企業管理者などを歴任。2015年6月に北海道中小企業総合支援センター理事長。18年6月から現職。札幌市出身。65歳。

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