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(2)日本製紙勇払事業所、洋紙生産部門を撤退 人口減少を不安視、地域への影響大きく

2018/12/21配信

 「勇払事業所は2019年12月に紙の生産を終了し、20年1月に設備を停止します」

 5月28日、苫小牧市役所で開かれた記者会見で、日本製紙北海道工場の飯塚匡信工場長が沈痛な表情でそう切り出した。

 太平洋戦争が始まる以前の1940(昭和15)年、勇払で誕生した大日本再生製紙を原点に地域と共に歩んできた製紙工場。苫小牧では、王子製紙苫小牧工場と双璧をなし、”紙のまち”を支えてきた存在だけに、紙造りからの撤退方針にまちは大きく揺れた。

 日本製紙が示した会社全体の事業再編計画は、印刷用紙や新聞用紙などの「洋紙」について生産能力を13%削減するという内容。IT(情報技術)化の進展などで、国内の洋紙需要が落ち込んでいることが主な要因だ。道内では勇払事業所のほか、釧路工場(釧路市)が19年7月に紙を生産する抄紙機3台のうち1台を稼働停止。本州では静岡県富士市の富士工場も洋紙生産から全面撤退する。

 会見で飯塚工場長は、協力会社を含む約500人の従業員の処遇について説明。自社の約240人の社員は道内外の他の工場へ配置転換するほか、勇払事業所で継続するケミカル事業と新たに立ち上げる木質バイオマス発電事業、新規事業などで吸収する考えを示した。

 協力会社の従業員約260人については「活用できる人材は活用する」として具体的な説明を避けた。勇払での事業規模は従来通りにはいかず、「ダウンサイジング(縮小化)する」としており、雇用の面でも影響は避けられない情勢にある。

 ■各方面に衝撃走る

 日本製紙の発表を受け、市や経済界に衝撃と動揺が広がった。苫小牧市は各方面からの相談の受け付け体制を整えたほか、苫小牧商工会議所や胆振総合振興局と連携して8月、勇払事業所と地元企業の取引実態を調査。この結果、調査に回答した分で、胆振管内全体では150社が取引し、年間の取引高は計約42億円と判明。このうち市内企業は138社で計約37億円と分かった。市などは、紙生産の停止で地域経済に与える影響を注視している。

 勇払事業所の地元・勇払地区の住民にも大きなショックをもたらした。減少傾向をたどる勇払の人口は、18年11月末時点で1992人。製紙設備が停止される20年1月以降、従業員の配置転換などで人口減少や流出による過疎化の加速を懸念する声が地域から上がっている。勇払自治会の萬誠会長は「人口減は避けられないが、勇払事業所の新規事業の話もある。その動きを見守りたい」と話した。

 こうした中、11月6日に開かれた苫小牧市立地企業審議会で、日本製紙が勇払事業所の敷地内に建設する木質バイオマス発電所の計画内容が明らかになった。総合商社の双日(東京)と合弁会社を立ち上げ、22年から従業員30人規模で営業運転を開始する方針が市の説明で示された。

 バイオマス発電以外で、日本製紙が立ち上げを予定する新たな事業とは、どのようなものになるか。同社の広報担当者は取材に「現段階でお答えできるものは何もない」とするが、紙生産から身を引いた後の影響を心配する地元住民や市、経済界は期待を込めながら行方に注目している。

(坂本隆浩)

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