苫小牧市内の桜木町町内会(三澤伸吉会長)は、会員世帯約1200戸に非常用持ち出し袋を配布した。住民の防災意識を高め、備えを強化してもらうことを目的とした初めての取り組み。三澤会長は「国内で災害が多発する中、一人一人の日ごろの備えは非常に重要」と力を込める。
非常用持ち出し袋は幅36センチ、長さ45センチのナップサック型。生地はオレンジ色で、夜間の避難時にも目立つように反射テープを取り付けている。
班長らが手分けして月内に、町内会広報12月号と一緒に各世帯に届ける。自然災害のリスクを地図で示したハザードマップや、持ち出し袋に入れる物品リストが掲載されている市の防災ハンドブックも一緒に配ることで、各家庭の事情や災害リスクに応じて必要な物を備えてもらう考えだ。
市の津波ハザードマップによると、同町内会はほぼ全域が浸水エリアとなっていることから、これまでも地域の防災力向上に注力してきた。2022年には、桜木ファミリークリニック(桜木町)を住民の津波緊急避難場所として使用する協定を、同院を運営する医療法人社団苫仁会と締結。市社会福祉協議会などと連携し、避難時に配慮や支援を要する高齢者らを日ごろから見守る地域のネットワークづくりにも取り組んできた。
また、大地震の発生を想定し、住民が避難ルートを確認しながら津波緊急避難場所の北星小学校まで移動する実践的な避難訓練も毎年実施。今年は9月に同校と合同で行い、住民と児童が防災について一緒に学んだ。
持ち出し袋の配布は、これらの取り組みをさらに一歩進めようと実施。三澤会長は「配布を機に皆さんに備えを進めてもらえれば何より。来年は各家庭で用意した避難袋を持って、避難訓練に参加してもらう構想も練っている」と語った。