前嶋フクさん死去、102歳 苫高商創設者で前理事長

前嶋フクさん死去、102歳 苫高商創設者で前理事長
100歳の祝いを受け、ほほ笑む前嶋さん=2022年7月

 苫小牧高等商業学校(苫小牧市若草町)の創設者で前理事長の前嶋フクさんが14日、老衰のため市内の病院で死去した。102歳だった。女性が自立する力を付けるためにと前身の苫小牧編物専門学校を開校し、70年にわたって職業教育に力を尽くした。100歳を超えてもはつらつと理事長室に通い、朗らかな笑顔を見せていた大黒柱を失い、学校関係者や社会活動を共にした人たちから悲しみの声が上がった。

   同校は15日正午すぎ、臨時の全校集会を開き、前理事長の逝去を猪瀨徹校長が報告した。生徒たちは沈痛な面持ちで耳を傾け、廊下で気さくに声を掛けられたことを思い出し、おえつを漏らす生徒もいた。

   前嶋さんは今年3月に体調を崩すまで理事長室で執務していた。猪瀨校長は「創設者ということもあり、大きな柱を失った気持ちだ」と肩を落としながらも、「日ごろから『しっかり頑張りなさいよ』と叱咤(しった)激励を受けていた」と振り返り、教育に情熱を傾けた前嶋さんの遺志を引き継ぐことを誓った。

   前嶋さんは1922年7月1日生まれ。東京YMCA英語学校英文・和文タイプ科を卒業後、53年に苫小牧高等商業学校の前身となる苫小牧編物専門学校を創立した。70年に現在の校名とし、79年には女性による奉仕団体・国際ソロプチミスト苫小牧のチャーター(初代)メンバーの一員として、同クラブの立ち上げに携わった。87年には苫小牧商工会議所女性会の初代会長に就任。2010年には瑞宝双光章を受章した。

   22年7月に100歳を迎えた際には、岩倉博文前市長から敬老祝い金を贈られ、「毎日出勤できる職場があることはうれしい。これからもビールを飲んで頑張って生きる」と話した。今年3月以降、自宅で療養していたが9月に理事長を退任し、1週間ほど前から入院していた。

   国際ソロプチミスト苫小牧では女性の地位向上を目指し、45年にわたり会を支え続けた。一緒に活動してきた国本京子さん(86)=新富町=は「つい先日も12月の活動のご案内を差し上げ、お力添えを頂いたばかり。とてもショックを受けている」と語り、「真摯(しんし)に取り組む姿からたくさんのことを学ばせていただいた。私たちにとって本当に重要な存在だったと改めて実感している」と偉大な先輩をしのんだ。

   苫小牧市長職務代理者・木村淳副市長の話 心よりお悔やみ申し上げます。長きにわたり青少年への教育活動に取り組むとともに、地域の福祉活動にも尽力され、女性の地位向上および社会参加の拡大にも貢献いただき、市政発展に多大なる功績を残された。深く敬意を表し、ご生前の親交に深く感謝申し上げます。