ふるさとネイチャーらんど~勇払原野の自然~
アマツバメの巣は断がい
(2010年 7/3)
6月26日の午後、樽前山の山ろくを流れる樽前川のガローに出掛け、川岸を散策してきました。
飛び回るアマツバメ
ガローに架かる橋から独特の景観を観察していると、橋の上空を飛ぶアマツバメがいるのを見つけました。
アマツバメはアマツバメ科に属する野鳥で、深く切れ込んだえんび型の尾羽と鎌形の長い翼が特徴です。アマツバメの仲間は鳥類の中で最も空中生活に適応したグループで、長い鎌形の翼を使って高速で巧みな飛行術を見せてくれます。
アマツバメによく似た種類にハリオアマツバメがいますが、ハリオアマツバメの尾羽はえんび型ではなく、角形をしていて短いので、遠くからでも尾羽を見れば簡単に区別することができます。また、両種は繁殖場所が違っていて、アマツバメが海岸や山地の断がいなどに巣を作るのに対し、ハリオアマツバメは枯れ木の中や樹洞などに巣を作ります。
断がいに作られるアマツバメの巣は雌雄が協力して、枯れ草や海藻などを唾液(だえき)で固めて作り、出来上がった皿形の巣に産み付けられた卵も雌雄が協力して温めます。アマツバメは集団で営巣するため、営巣地周辺ではたくさんのアマツバメが飛び回っている姿を見ることができますが、断がいに作られる巣は観察が難しく、繁殖やつがい関係など詳しい生態については謎の多い野鳥です。
大きなミヤマクワガタ
小さくなり始めたエゾハルゼミの合唱を聴きながら川岸を歩き始めると、ミズナラの樹液を訪れているミヤマクワガタの雄がいるのを見つけました。
ミヤマクワガタは国内に生息するクワガタムシの中で最も大きな種類で、雄の中には大アゴを含めると体長が7センチを超えるものもいます。
原野でミヤマクワガタが生息しているのはミズナラやハルニレなどがある広葉樹林で、最も観察しやすいのは5月下旬から8月初旬にかけてです。林の中でミヤマクワガタを見つけるには、ミズナラやハルニレなどの樹液が出ている場所を探すとよく、スズメバチやキマダラヒカゲなどチョウの仲間が飛び回っていれば、樹液の出ている場所を見つけることができます。
ちなみにミヤマクワガタの幼虫は広葉樹の枯れ木の中で成長しますが、成虫になるまでには数年かかります。
観察が難しいジュウイチ
ガロー周辺を散策しているとミヤマクワガタのほか、エゾハルゼミやチョウの仲間なども観察することができ、イカルやセンダイムシクイ、オオルリ、キビタキなどにも出合うことができました。
また、夕暮れが迫るころになるとジュウイチの鳴き声を聴くこともできました。
ジュウイチはカッコウやツツドリなどと同じ、ホトトギス科に属する野鳥で、原野には5月ころに飛来し、繁殖期になると樽前山ろくの森などで「ジューイチイ、ジューイチイ」と繰り返す独特の鳴き声を聴かせてくれます。ジュウイチにもカッコウやツツドリなどと同じ托卵(たくらん)という習性があり、自分では子育てをせずオオルリやコルリなどの巣に卵を産み付けて育てさせます。
原野で観察できるホトトギス科の野鳥にはカッコウとツツドリ、ジュウイチの3種類がいますが、ジュウイチは生息数が少ないため最も観察が難しく、鳴き声を聴くことはできても姿を見ることはまれです。



