生態には
まだ謎多く

〜アリジゴク〜


アリジゴクの正体

 アリジゴクはウスバカゲロウ類の幼虫で、この名前は砂の中にすり鉢状の巣を作り、アリなどの小さな昆虫を巣に落として捕まえるところから来ています。
 すり鉢状の巣はアリジゴク自身がらせん状に後ずさりしながら土に潜って作りますが、その大きさは成長段階によって異なります。巣を作る場所は雨の当たらない乾燥した砂地。勇払原野ではウトナイ湖の湖岸などでも観察できます。
 日本では「蟻地獄」と呼ばれますが、西洋でも「ant lion」と呼ばれ、どちらもアリジゴクの習性をよく表している名前です。
 成虫になるとウスバカゲロウというトンボによく似た姿の昆虫に変身します。ウスバカゲロウの仲間は夜行性で触覚が長く、トンボに比べて羽がとても薄くて幅広いので簡単に区別することができます。
 ちなみにアリジゴクの生態はよく研究されていますが、成虫のウスバカゲロウの仲間の生態については何を食べているのかを含め、あまり研究されていません。その理由は夜行性で、姿が見つけにくい、飼育が難しいことにあるそうです。
 

日本のウスバカゲロウ類

アリジゴクの巣
 ウスバカゲロウの仲間は世界に1900種類ほど生息していますが、熱帯や亜熱帯に集中し、日本には17種類しかいません。
 アリジゴクというとすべてすり鉢状の巣を作るものと思いますが、17種類の中にはすり鉢状の巣を作るもののほかに、ただ砂地に潜んで獲物を待ち伏せるものもいます。このようなアリジゴクの発見は運と勘に頼るしかなく、いまだに7種類のウスバカゲロウのアリジゴクは見つかっていないそうです。
 それならば、アリジゴクが不明なウスバカゲロウに卵を産ませて、飼育すれば分かると考えがちですが、飼育が難しく、卵の採集もとても難しいそうです。
 

うんこをしないアリジゴク

 ウスバカゲロウは砂の中に卵を産み、ふ化した幼虫(アリジゴク)は成長段階によって巣穴の大きさを変えながら成長します。十分成長したアリジゴクは砂の中に繭を作ってさなぎになり、羽化すると土からはい出て成虫になりますが、この時初めてうんこをします。
 このうんこはとてもつやつやして硬く宝石のようです。うんこをしない訳は食べ物の食べ方にあります。アリジゴクは小さな昆虫などを捕まえて食べますが、体液を吸って成長するため消化器官の中にほとんど不消化物が残らないので頻繁にうんこをする必要がないのです。
 ちなみに獲物が少なくておなかがすくと不消化物が少ないので、ぷっくりとしたおなかは縦に縮んでとても小さくなります。

 (ゆうふつ原野自然情報センター・村井雅之、イラストも)

ふるさとネイチャーらんど苫小牧民報社