湿地がはぐくむ命
〜ルリボシヤンマの仲間〜
ルリボシヤンマの抜け殻
 


湿原の宝石

 勇払原野にはオオルリボシヤンマ、ルリボシヤンマ、イイジマルリボシヤンマという3種類のルリボシヤンマがすんでいます。イイジマルリボシヤンマはとても数が少なく、観察できる場所も限られますが、他の2種類は案外簡単に観察できます。特にオオルリボシヤンマはウトナイ湖の湖岸を歩くと、すぐそばで飛び回る姿を見せてくれます。
 ルリボシヤンマたちの特徴は名前通りに美しいるり色の体や複眼にあり、陽光の中を飛び回っている姿は湿原を映す宝石のようです。しかし、美しいルリボシヤンマたちも水中生活をしているヤゴの時代は、姿形がグロテスクで、地味な体色をしています。ヤゴの姿はどの種類のトンボも同じようですが、よく見ると種類ごとに特徴があり、ヤゴを見るだけでどんな種類かが分かります。ちなみにルリボシヤンマなどヤンマの仲間は大きな頭部に太くて長いおなかを持っているのが特徴で、原野の湿地でよく見掛ける、おなかが平べったくて幅広い赤トンボのヤゴとはずいぶんと違います。
 

ルリボシヤンマのすみ分け

オオルリボシヤンマ
 原野にすむ3種類のルリボシヤンマには、それぞれ好む水辺のタイプがあって、すみ分けしています。基準は水面の広さで、ウトナイ湖のような大きな水面にはオオルリボシヤンマ、小さな水面がところどころに顔を出す湿原や池などにはルリボシヤンマ、ほとんど水面が見えない湿原にはイイジマルリボシヤンマがすんでいます。
 原野にある沼や湿原の様子から、最も観察しやすいのがオオルリボシヤンマ、次がルリボシヤンマ。最も観察しにくいのがイイジマルリボシヤンマです。
 イイジマルシボシヤンマは寒冷地に適応したトンボで、国内では北海道にしか生息せず、勇払原野ばかりではなく全道的にも珍しいトンボです。ちなみに「イイジマ」という名前は、このトンボを1972年に標茶湿原で初めて発見した釧路のトンボ研究者、飯島一雄氏の名前から付けられました。
 

勇払原野のルリボシヤンマ

 大きなヤンマたちのすむ勇払原野の湿地は開発の影でずいぶんと減少し、そのおかげでアオヤンマのようにほとんど姿を消してしまったヤンマもいます。そのアオヤンマを先日、原野の湿地で久しぶりに発見することができ、少し安心しましたが、トンボたちが置かれている厳しい状況に変わりはありません。ルリボシヤンマたちが第二、第三のアオヤンマにならないように原野の湿地を保全していくことが必要です。

 (ゆうふつ原野自然情報センター・村井雅之、イラストも)

ふるさとネイチャーらんど苫小牧民報社