好対照の生息環境、
適応力

~セグロセキレイとハクセキレイ~
セグロセキレイとハクセキレイ
 


セグロセキレイは日本固有種

 セグロセキレイはセキレイの仲間で、細身の体に尾羽が長く、頭部から胸の上側は黒、額から目の上にかけての白い模様が目立つのが特徴のムクドリより小さい野鳥です。北海道では冬になると、ほとんどが南下して越冬する夏鳥ですが、一部が留鳥として越冬し、勇払原野でも苫小牧川や勇払川などの河川中流域周辺で越冬している姿をよく見掛けます。
 セグロセキレイが好んですむ場所は、河川の上流から大きな石がごろごろしている中流域で、国内であれば姿を見ることは比較的簡単ですが、世界的には九州から北海道までにしか生息していない日本の特産種であり、生息数の少ない野鳥です。
 セグロセキレイという名前は、体の色に由来していますが、日本固有種であり、セキレイの仲間独特の尾羽を上下に振って歩く様子から英名ではJapanese Wagtail(尾羽を振る)という名前で呼ばれています。
 

分布を広げるハクセキレイ

 ハクセキレイは、大きさや姿形がセグロセキレイに良く似ていて、慣れないと区別することが難しいですが、顔の白と黒のコントラストに注目してみてください。ハクセキレイは、白っぽい顔に黒いまゆが目立ち、セグロセキレイは黒っぽい顔に白いまゆが目立つことに気付くはずです。このポイントさえ押さえれば、成鳥を区別することができるようになります。
 また、すむ場所もセグロセキレイと違い、主に河川の中流域から海辺、川の周囲や住宅地、農耕地のような開けた環境を好み、主に水辺のくぼみや家屋のすき間などに巣を作りますが、時には車のエンジンルームや捨てられた炊飯器の中などにも巣をつくり、春になると話題になることの多い野鳥の一つです。
 セグロセキレイは日本固有種ですが、ハクセキレイは対照的に地球上でもっとも広い範囲に生息している適応力の強いセキレイです。セグロセキレイが水辺から離れないのに対し、ハクセキレイは乾燥した農耕地や市街地にも生息しています。
 

勇払原野のセキレイ

 勇払原野で毎年見られるセキレイの仲間には、ハクセキレイ、セグロセキレイのほかにビンズイとタヒバリがいます。セグロセキレイのところでも書きましたが、尾羽を上下に振って歩く様子やヒヨドリのように途中で羽ばたきを止めて波形に飛ぶ様子を見れば、すぐにセキレイの仲間であることが分かります。
 このセキレイたちのうちで生息の様子が劇的に変わり始めたのが、適応力の強いハクセキレイで、30年ほど前には北海道でしか繁殖していませんでしたが、徐々に繁殖地が南下し、現在では中国地方でも繁殖するようになっています。
 さらに北海道では、随分と前から南下して越冬するはずのハクセキレイの一部が留鳥として市街地周辺で越冬するようになり、勇払原野でもかなり前から越冬するものが増えてきています。3年ほど前には、JR千歳駅の前で数十羽のハクセキレイがねぐらをとっているのが話題になりました。
 国内でハクセイキレイが分布を拡大できるようになったのは、ハクセキレイが好む開けた環境や冬でも暖かい都市空間が拡大していることが原因の一つであることが指摘されています。土地利用の進む原野のハクセキレイたちの生息状況はどのように変わって行くのでしょう。

 (ゆうふつ原野自然情報センター・村井雅之、イラストも)

ふるさとネイチャーらんど苫小牧民報社