羽の模様で識別
〜赤トンボ〜
アキアカネ
 


赤トンボにも種類がある

ミヤマアカネ
 「赤トンボ」と呼ばれるアカネ属のトンボは、国内に15種類いて、このうち原野で見られるのはアキアカネ、ナツアカネ、タイリクアカネ、ノシメトンボ、コノシメトンボ、マユタテアカネ、マイコアカネ、ヒメアカネ、ミヤマアカネ、キトンボの10種類です。
 赤トンボの仲間はどの種類も同じようにしか見えないと誤解している方が多いようですが、よく見ると種類によって大きさや体の色、羽の模様などが違うことに気づきます。特に羽の模様は識別するための大切なポイントで、4つのパターンがあり、一番分かりやすい種類は羽に赤い帯のあるミヤマアカネです。
 赤トンボは捕まえるのも面白いですが、種類が分かると楽しさが増します。今年の秋は、紙面にある羽の絵を参考にして近所を飛び回る赤トンボの種類を調べてみてはどうでしょう。もしかしたら意外な種類が見つかるかもしれません。
 

赤トンボ論争

ノシメトンボ
 赤トンボと聞けば、思い出すのが「夕焼け小焼けの赤トンボ…」のフレーズで始まる童謡「赤トンボ」ですが、この童謡をめぐってトンボ好きの間では長いこと論争が続いています。
 論争の原因は「赤トンボ」に歌われているトンボの種類が何かということで、よく見掛けるアキアカネだったという人たちと、ナツアカネだという人やウスバキトンボだという人などがいまだに議論しています。
 ちなみにトンボ好きの私としては「夕焼け小焼けの赤トンボ…」は種類を追求せず、赤トンボのままの方がイメージが壊れずに済んで良いと思うのですが、みなさんはどう思われるでしょう。
 

避暑に出かけるアキアカネ

 赤トンボの代名詞といっても良いほど、秋になるとよく見かけるアキアカネですが、7月に羽化したアキアカネは秋が来るまで平地で姿を見ることはほとんどありません。
 これは、もともとアキアカネが寒い地域にすむ暑さが苦手なトンボで、夏の間、涼しい山や森の奥で過ごすためです。勇払原野周辺では、涼しい樽前山や不風死岳方面で過ごし、そこで小さな昆虫などを食べて成長します。成長すると雄は体の色が鮮やかな赤に変わり、平地に下りて来て雌を探しますが、原野を飛び回る2匹のつながったトンボは前が雄、後が雌で、結婚したアキアカネが産卵場所を探している姿です。
 

勇払原野の赤トンボ

 私は、今から18年ほど前に原野の草原で見た、青空を背に飛ぶ赤トンボの大群が忘れられません。その群は私の頭上をとぎれることなく、大きな川が流れるように飛んでいました。
 そして今、原野を飛び回る赤トンボの群は年々小さくなってしまい、大きな群を見ることもなくなりました。その原因については、気象の変化、開発により湿地の減少など、いくつもが複雑に絡み合っていると考えられますが、すべての原因が私たちの生活にあることは明らかです。2002年環境サミットが開かれ、自然環境の保全と開発が議論されましたが、その結果が有意義なものだったか否かは環境の変化に敏感な生き物たちに聞くのが一番。2010年、原野の秋空を飛び回る赤トンボの様子はどうなっているでしょう、今より悪くなっていないことを祈ります。
 


<赤トンボの識別>

ミヤマアカネ
アキアカネ
ナツアカネ
ヒメアカネ
マイコアカネ
マユタテアカネ
タイリクアカネ
ノシメトンボ
コノシメトンボ
キトンボ

 (ゆうふつ原野自然情報センター・村井雅之、イラストも)

ふるさとネイチャーらんど苫小牧民報社