大空に舞う
勇壮な姿
〜オジロワシ〜


原野にすむオジロワシ

川岸で獲物を狙うオジロワシ
 オジロワシは、ユーラシア大陸に広く分布する海ワシの仲間で、翼を広げると2・3メートル近くにもなる大型のワシです。体は茶褐色でくちばしと足が黄色、尾羽が純白のため、オジロワシという名前が付けられました。
 オオワシも尾羽が白くて混同される(特に若鳥)ことがよくありますが、オジロワシの尾羽が比較的丸く開いているのに比べて、オオワシの尾羽の方はクサビ状に長く突き出ているところから区別することができます。世界中で極東にすむオジロワシたちにとって、北海道は繁殖南限になっていて、道東や道北などで繁殖し、少数が1年を通して確認されますが、冬鳥として飛来するものがほとんどです。
 勇払原野では、ウトナイ湖や白鳥湖、弁天沼などで観察することができます。オジロワシは生息数が少なく、日本では天然記念物に指定され、環境省が作成したレッドデータブックでも絶滅危惧(ぐ)種とされ、手厚い保護策が望まれています。
 

オジロワシの生活

ウトナイ湖にすむ魚
 オジロワシの繁殖期は3月から8月で、ミズナラやエゾマツなどの樹上に枯れ枝を集めて大きな巣を作り、雄と雌が共同で子育てをします。
 ふ化してから70日前後で巣立った若鳥は、親鳥からすぐには独立せず、その年の冬まで一緒にいます。越冬するオジロワシやオオワシは、風の当たらない谷筋の木の上に集団でねぐらをとります。オジロワシの食べ物は、産卵を終えたサケなどの魚類や水鳥で、時々ウサギやアザラシの子供などを襲うこともありますが、勇猛な姿の割には狩りが下手です。
 ウトナイ湖では、弱ったカモの仲間や死んだコイなどを食べていることが多く、捕まえた大きなコイに水中へ引きずり込まれたり、オオハクチョウを襲って逆に撃退されたりといった情けない姿を見ることもよくあります。
 

原野の人とオジロワシ

 全国的な問題になっているガンカモ類の鉛中毒死の結果、鉛弾の製造や使用が一部で規制されるようになりました。勇払原野でも弁天沼周辺が鉛散弾規制区域となりましたが、ここ数年の調査で鉛中毒死は水鳥ばかりではなくオジロワシやオオワシにまで及んでいることが分かってきました。
 オジロワシやオオワシの鉛中毒死は、ハンターが鉛弾で殺したエゾシカの死がいを山林や原野に放置し、肉に混在する鉛弾をオジロワシやオオワシが食べることで起こります。
 鉛中毒死防止の手段として、使用規制区域を拡大するなどの対策がとられてきてはいますが、いまだに鉛弾の入手は可能であり、法的に使用が禁止されていても現行犯でなければ取り締まることができません。
 オジロワシやオオワシを保護するには、鉛弾の製造と使用を全面禁止するという根本的な対策しかありません。そうしなければ、原野の青空を悠々と飛ぶワシたちの姿が消えてしまう可能性があります。

 (ゆうふつ原野自然情報センター・村井雅之、イラストも)

ふるさとネイチャーらんど苫小牧民報社