企画・特集

フェアウエー陥没

(中)地下水による「土壌浸食」

(2009年 7/17)

空洞化の原因を説明する木幡准教授=室蘭工業大研究室で

 女性客を死に追いやったフェアウエーの穴はどうしてできたのか。詳しい理由を知るため、7月13日夜、室蘭工業大学の木幡行宏准教授の研究室を訪ねた。

 木幡准教授は道警の現場検証に立ち会い、女性が落ちた穴を調べた地盤工学の専門家だ。「地下水が土壌を徐々に浸食して穴ができたのだろう」と、研究室で空洞化の原因を説明した。

 事故が起きたゴルフ場「ル・ペタウゴルフ」のカスケードコースは、火山灰質の粘性土を盛り土材にして造成した場所。そこに流れをつくる地下水脈の水位が、雨や雪解け水で変動を繰り返し、長い月日をかけて土壌を浸食した。

 さらに、軟らかい土に吸収されるように水が浸透していく毛管現象も働き、緩くなった土が崩れて穴が広がった―。木幡准教授が推測する空洞化のメカニズムだ。

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  ゴルフ場の元地主によると、事故現場のコースは、かつて4本の小川が流れる沢地。そこを、もろい火山灰質で埋め立てた。もともと、水の集まりやすい場所だったのだ。

 道立地質研究所の石丸聡・防災地質科長は「火山灰質の盛り土材は、締め固まりが強い自然の堆積(たいせき)土に比べ、水の浸食に弱い」と話す。このため、コース造成の際、「果たして水処理対策は万全だったのだろうか」と疑問視する関係者もいる。

 さらに、地下水の土壌浸食の過程で流出する土砂は、地下の排水管を通って流れ出た可能性が高いことが、警察の現場検証で判明した。

 木幡准教授は「排水管は、土砂が入り込まないよう工夫されているはずなのだが」と首をかしげ、排水管に何らかの不具合があった可能性も考えている。

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  貴い人命を奪った事故は、コース造成で土地を埋め立てる際、法的な安全対策が十分でない現状にも警鐘を鳴らした。

 例えば、盛り土の工法。鉄道の線路敷設の際は、盛り土材の種類や締め固めの強さなど、荷重に関する国の安全基準が設けられている。しかし、「ゴルフ場コースは普段、人が歩く程度の重さしか掛からないため、線路建設と同様の基準を当てはめて造られるものではない」と木幡准教授は指摘する。

 また、ゴルフ場を建設する際、森林法に基づく林地開発の道の許可が必要になるが、これも施設の安全確保を求めたものではない。「森林環境の保全が主眼であり、ゴルフ場建設の安全基準を示した制度ではない」と、道治山課の担当者は説明する。

 バブル経済期に全国で続々と誕生したゴルフ場。平たんな土地が少ない国情から、小川が流れる丘陵地帯を埋め立てて建設した事例も多い。

 道立地質研究所の石丸科長は「水の集まりやすい場所では、安全対策として、盛り土の締め固め方と水処理が何より重要だ」と強調。地質研究者などからは、今回の事故を受け、ゴルフ場造成にかかわる法的な安全基準の整備や充実を求める声も出ている。