企画・特集

2009 この1年

(14)新千歳空港24時間問題地域協

(2009年 12/29)

 「いろいろなことがあったが、きょうの晴天に限る。天気が歓迎している」

 日本晴れ。苫小牧市の「道の駅ウトナイ湖」がその湖畔にオープンした10月1日、高橋はるみ道知事、岩倉博文苫小牧市長ら来賓に続き、植苗町内会連合会の丹羽秀則会長があいさつ。万感迫る思いを言葉に込めた。その3人を含む関係者によるテープカット。待ちかねた数百人の市民も新たな観光スポットのオープンを祝った。

 知事の表情は明るい。知事を拒み続けた植苗での晴れの場。6年に及ぶ地域との断絶が、少し解けたことを意味する。

 新千歳空港24時間運用。空港の機能強化は、航路下地域の騒音負担とセットだ。この行政課題に向き合う地域住民による「苫小牧市地域協議会」はしかし、2003年10月に行政との話し合いの窓口を閉ざした。滑走路を苫小牧側に500メートル延ばす滑走路延長問題で、住民との合意条件を道がほごにしたからだ。反発した地域住民は01年の延長合意を「白紙撤回する」と道に通告。以来、空港機能の強化に係る道と航路下住民の対話の場は、断たれた。

 一方この間、課題に浮上したのが深夜早朝時間帯(午後10時~午前7時)の発着枠拡大。来年秋の羽田空港の新滑走路供用開始に伴う航空ネットワークの再編を意識した、新千歳の機能強化を目指す知事の重要政策だ。

 住民の行政不信は深い。関係者が、知事の出席と「謝罪」のシナリオを描いた2月の地域協議会は、植苗の住民が参加を拒否して開催は流れた。住民は、延長問題を棚ざらしにしながら発着枠拡大を求める道の思惑を感じていたからだ。「今さら謝罪は必要ない」と住民。打開の糸口は容易には見いだせなかった。

 そして開かれた6月の協議会。住民側が行政に歩み寄った。「一度6年前に戻る必要がある」と表現していた岩倉市長は、高井修副知事の謝罪の言葉を評価した。会議では道に対し厳しい指摘が相次いだが、終了後には「長期ビジョンを持ってほしい。協力できるものもある」と丹羽会長。ともあれ発着枠拡大への協議が端緒に着いた。

 道は10年2月にも協議会を開き、具体的な発着枠を提案する見通しだ。一度は滑走路延長で合意した地域側。闇雲にかたくなな姿勢はない。が、それも行政の構え次第。延長問題をこじらせ、住民を振り回したのは他でもない行政側だからだ。

 6枠拡大がなぜ必要なのか、道の活性化にどうつながるのか、地域の負担をどう軽減するのか。中長期の戦略と展望、説得力ある説明、真摯(しんし)な議論を求める。(おわり)