企画・特集
2009 この1年
(5)飛散アスベスト
(2009年 12/18)
|
「何でアスベストが残っているんだ」―。3月9日、苫小牧市のぞみ町の市第2学校給食共同調理場で、ボイラー設備の煙突内のアスベスト(石綿)を含む断熱材が屋外に飛散した。この事実が理事者に報告され、表面化したのは1週間後。やがて、2006年にも同じ施設で同様の事故が起きていたことも発覚、住民に不安が広がった。発がん性物質、アスベストに対する市の危機意識の欠如や認識不足が招いた現実だ。
公共施設のアスベストは、市が05年に実態調査し、除去や囲い込みなどの処置をした。煙突内の断熱材に練り込まれたアスベストは対象外だった。事故後の調査では、42施設でアスベストを含む断熱材を使用していることが分かり、「飛散の恐れあり」と判断された第2庁舎と住吉コミュニティセンターで対象個所の改修工事を実施。しかし、その後も植苗小中学校で断熱材が膨張していることが明らかになり、「市の調査そのものに疑いがある」と市議会が指摘した。
第2給食センターの事故について市側は「危機意識が欠如していた」と住民説明会や市議会などで陳謝した。住民説明会で、市は「浮遊濃度調査などでは(大気汚染防止法の)基準値以下だった」と説明したが、住民は健康被害が発生した場合の行政責任を指摘。「子供たちが大きくなったときに、そこでアスベストを吸い込んでいたという記録がほしい」。住民の怒りは居住確認書を発行させるなど、行政の重い腰を動かした。
だが、追い掛けるように8月に山手町の市営住宅のボイラー室、新明町の交通部庁舎のボイラー室で吹き付けアスベストが残っていたことが分かった。しかも山手の市住では、苫小牧労働基準監督署が施設の運営を受託していた業者に以前から落下していた事実を確認した。市側もその事実を把握し、飛散の恐れがあると承知しながら、放置し続けていたことも分かった。一連の事故は防げた事故であり、行政の危機意識の欠如、怠慢の批判は免れない。
12月の市議会定例会でも、市職員の共同住宅の煙突調査で「他の建物もないからないだろう」という、みなし調査を行っていた事実が明らかになった。これだけアスベスト事故が相次いでも行政の危機管理意識は向上する気配はない。
アスベストに限らず、事故、不祥事が起きるたびに「二度とこのようなことがないように…」と再発防止を誓う理事者の言葉には、虚しさを感じる。場当たり的な対応ではなく、危機管理に真摯(しんし)に取り組む姿勢が求められている。


