企画・特集
あしたの風
演劇鑑賞会を支える
森沢 桂子(もりさわ・けいこ)さん(61)
(2009年 10/31)
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苫小牧演劇鑑賞会の今年最後の例会(演劇公演)が11月27日、苫小牧市民会館で行われる。会が発足した時から数えて141回目の例会。23年間、事務局長として会を支えてきた。
1986年4月、静内町(新ひだか町)から苫小牧に引っ越して来たばかりのころ、街で見たポスターに誘われて演劇「イーハトーボの劇列車」(井上ひさし作)を見た。「苫小牧に居ながらに良い芝居を見るため演劇鑑賞会を」。その下地を作るための公演だった。会場で、会の設立、会合への出席を呼び掛けるチラシを受け取った。出掛けたもののチラシを見て出席したのは森沢さんだけだった。
会の旗揚げは、その年の11月、文学座の「リトル・シング」。森沢さんは、主催者側に居た。「チラシ1枚のご縁。あの時、会合に行かなかったら、こんな所にいなかった」。冗談っぽい口調で言う。
映画、小説、そして演劇が好きだ。大学進学で上京。そこで出合ったのは唐十郎の芝居。「紅テント」にカルチャーショックを受けた。「唐十郎のやることが、考えたり、感じたりの基本になった。年に1回は見に行くようにしている」。今でも紅テントに入ると特別な気分になる。
例会は年6回。その費用は、会員の会費で賄っている。そして当日の受け付け、舞台で使う道具の搬入、搬出、パンフレット販売の手伝い―。すべては会員の手で行われる。「お金を出し合い、話し合って運営も自分たちで行う。素晴らしいことで、会員制だからこそ続いてきた」
苫小牧のほか函館、旭川、釧路など道内6カ所の鑑賞会が協力して行っている例会だが、冷や汗をかいたこともある。「脚本が出来上がらない」「俳優が舞台に立てない」―。例会中止の寸前にほかの劇団が、代役を引き受けてくれた。感慨深いこともある。来年4月に予定する「化粧」(渡辺美佐子出演)は、88年にも取り組んだもの。「前回は、2日公演のつもりが、苫小牧の会場は1日しか取れず、もう1日は白老でやることに。バスをチャーターしたり大変で、それを思い出します」
スタート時の会員は206人。会員が声を掛けて仲間を増やし、現在は約1050人。最盛期に比べるとわずかだが、数を減らしている。「会費を払い設立してくれた先輩がいる。支えてくれた会員がいる。そうした人がいたから今、苫小牧で観劇できる。自分たちの住んでいる街で演劇を見続けるために自分たちが行動する。それが本当の文化だと思う。そういう人が1人でも2人でも増えて、この会が続いていってくれたらと思う」(文・写真 松原清)
メモ 香川県高松市生まれ。苫小牧演劇鑑賞会の活動には設立時から携わっている。入会などの問い合わせは電話0144(36)1560。土、日、祝日を除く正午から午後6時まで。


