特集

ウトナイ湖サンクチュアリレンジャー通信

夏鳥が続々と到来 楽しみ方を伝え、調べ、守る

(2017年 5/19)
個体数の減少が心配されるオオジシギ

個体数の減少が心配されるオオジシギ

 ウトナイ湖に立ち寄っていたコハクチョウやマガン、ヒドリガモなどは、5月に入り、ほとんど姿が見られなくなりました。大半は繁殖地のロシアに向け、旅立ったようです。春は、こうした冬鳥に別れを告げる一方、夏鳥との新たな出会いがある季節。人とのそれにどこか似ています。

 夏鳥とは、子育てのため越冬地から渡って来る野鳥のこと。ウトナイ湖周辺でこの春、最も早く到着したのは前号で紹介したヒバリで、3月16日に声が聞かれました。その後は、キジバト(4月7日)、アオジ(4月13日)、ウグイス(4月15日)…と毎日のように新顔が増えています。

 これらの野鳥が冬を過ごしていたのは、日本国内の暖かい地方ですが、4月15日に初確認のツバメや18日のクロツグミの主な越冬地は東南アジアで、はるばる海外から渡って来ました。同じ長旅組のセンダイムシクイやキビタキなどもすでに到着済みです。

 草原や林に渡来した夏鳥はペアになり、子育てをします。多くの雄は着飾った姿をしており、雌に求愛し、一定のなわばりを守るため、さえずりと呼ばれる美しい調べで歌います。

 そんな夏鳥を楽しむのにお薦めの時期や時間は、姿を見るのであれば、木々の葉が茂る前のちょうど今。美しい歌を聞くには、種によって異なりますが、おおむね7月半ばぐらいまでの早朝。午後遅くも意外と良くさえずっています。

 折りしも先週から今週にかけてはバードウィークでした。この機会に身近な野鳥に目を向け、28日に野生鳥獣保護センターで開催する「夏鳥ウオッチング」などにも参加されてみては、いかがでしょうか。

 さて、夏鳥の中には、とてつもなく長い距離を移動する野鳥もいます。それがオオジシギ。ハトほどの大きさで、何とオーストラリアから渡って来るのです。美しいさえずりは持たず、代わりに上空から急降下する際に出す大きな羽音で、雌にアピール。その様子から「雷シギ」との呼び名もあります。

 日本野鳥の会は昨年、数の減少が心配されるオオジシギの保護や生息地の保全を進めようと、プロジェクトを立ち上げました。生息状況を把握するため、来年から道内各地で実施する本格調査を前に、この5月はまず、特に渡りにおける重要な生息地と考えられる勇払原野で、個体数などを調べる予定です。結果についてはまた、この誌面などでご紹介したいと思います。

(日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリ・中村聡レンジャー)



PAGE TOP