特集

女子アイスホッケー日本代表 平昌へ

(下)五輪へさらなる成長を

(2017年 2/17)
記念撮影に応じ、一斉に氷の上を駆け出すスマイルジャパンのメンバー=12日、苫小牧市の白鳥王子アイスアリーナ

記念撮影に応じ、一斉に氷の上を駆け出すスマイルジャパンのメンバー=12日、苫小牧市の白鳥王子アイスアリーナ

 ■支援の輪

 4年前の2013年、ソチ五輪最終予選で16年ぶりの五輪出場を決めると、全競技通じてソチ五輪出場第1号だったこともあってか、そこから全国的に女子のアイスホッケーが大きな注目を浴びた。メディアなどの露出が増え、それまで自己負担もあった海外遠征の費用も援助を受けるなど、競技を取り巻く環境は大きく改善された。最年長のベテランFW小野粧子(35)=フルタイムシステム御影グレッズ=は「前回の五輪に出場したことで、スタッフも多くなったし、手厚いサポートもしてもらった」と振り返る。今ではおなじみとなった「スマイルジャパン」の愛称が誕生したのもこの頃だった。

 日本オリンピック委員会(JOC)が推進するトップアスリート就職支援ナビゲーション「アスナビ」を活用し、それまでピザ屋や居酒屋などでアルバイトをしながら、競技を続けていた選手たちが次々に就職を決めたのもその流れだ。選手は普段、職場で働きながら、所属チームで練習がある日には早めに退勤させてもらうなど、企業もアイスホッケーに対してバックアップする体制があった。

 ソチ五輪後に大学生から社会人になったDF小池詩織(23)=道路建設ペリグリン=は「会社に理解してもらい、トレーニングに集中させてもらっている」。同じく社会人3年目のFW米山知奈(25)=同=は「職場でも応援の声を掛けてもらい、力をもらっている」と話す。特に代表の中心になる20代半ばの世代が脂が乗ってきたこの4年間、企業の理解を得ながら、これまでと変わらずホッケーに専念できる環境に身を置けたのは、今回の結果にも大きくつながった。

 ただ、代表選手にスポットが当たる一方で、全体を見渡すと決してそうではない。支援を受けているのはほんのごくわずかにすぎず、大半の選手は仕事で思うように練習に参加できなかったり、大会に合わせて仕事の日程を調整したりと、競技と仕事の両立に苦労しているのが現状。最終的に引退を選択する選手も少なくない。

 苫小牧出身のFW久保英恵(34)=西武プリンセスラビッツ=は「代表に入っている選手は就職が決まって支援も受けられているが、その他の選手はまだまだそういう状況ではない。平昌で結果を残して、もっともっとアイスホッケーの環境を整えていきたい」。3試合ゴールを守ったGK藤本那菜(27)=ボルテックス札幌=も「女子アイスホッケーに注目が集まり、競技人口も増えていけば」とブームの再来を期待する。

 ■五輪で結果を

 今季最大の目標だった五輪の切符を手にしたが、喜ぶのもつかの間。18日からは冬季アジア札幌大会が始まり、8日間で5試合をこなす過密日程。4月にはオーストリアで世界選手権ディビジョンⅠグループA(2部相当)を控え、トップディビジョン(1部相当)返り咲きを目指して、今回の五輪最終予選でも戦ったオーストリアやフランスなどと再びぶつかる。

 「最終予選で勝つことが目標ではない」と誰もが同じ言葉を口にするように、目指すのは1年後の韓国平昌五輪だ。DF床亜矢可(22)=西武プリンセスラビッツ=は「前回の五輪ではメダルを目標にしていたが、1勝もできずにオリンピアンとしてふさわしい結果を残すことができなかったので、次こそは。これからの1年でさらにレベルアップして必ずメダルを取って、日本に帰ってきたい」と雪辱に燃える。

 FW大澤ちほ主将(25)=道路建設ペリグリン=は「今の私たちなら五輪で勝っていける力もあると思うし、メダルを狙える力も付けてきていると思う」と日本の底力を信じ、「これからもっと頑張らなければいけない。結果を残すことで環境ががらりと変わると思う」と言葉に力を込める。1年後の夢舞台、彼女たちは日本アイスホッケー界の未来を背負って、決戦の舞台に立つ覚悟だ。

 (この企画は石川鉄也が担当しました)



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