スポーツ

アイスホッケー

五輪出場国の意地、Vで再昇格 女子IH世界選手権15日開幕

(2017年 4/13)

五輪最終予選でも激戦を繰り広げたフランスなどと世界選手権を戦う日本代表「スマイルジャパン」=2月の五輪最終予選から

世界選手権への意気込みを見せる森竹(右)と獅子内=新千歳空港

 女子アイスホッケー2017IIHF世界選手権ディビジョンⅠグループA(2部相当)が現地時間の15日、オーストリア・グラーツで開幕する。米国やカナダなど実力上位国が集うトップディビジョン(1部相当)返り咲きを目指す日本代表「スマイルジャパン」は、シーズン最後の大一番を優勝で締めくくり、1年後に控える韓国平昌五輪につなげていく。このカテゴリーでは出場国中、唯一の五輪代表国として負けられない戦いになりそうだ。

 日本代表チームは4日に現地オーストリアへ入り、事前合宿をスタート。2月に続いた五輪最終予選、冬季アジア札幌大会のメンバーをベースに、新たに3人を加えた布陣で本番を迎える。

 大会は世界ランク7位の日本をはじめ、デンマーク(同10位)、オーストリア(同11位)、フランス(同12位)、ノルウェー(同13位)、ハンガリー(同17位)の6カ国が出場。1回総当たり戦で順位を競い、優勝国がトップディビジョンへ昇格となる。

 世界ランキングで最上位の日本にとって「勝って当たり前」の状況に変わりはないが、油断は禁物だ。中でも、最終予選でも戦ったフランスとは直前のテストマッチを含め、4度目の対戦になる。過去3試合は日本が勝利しているが、お互いに特徴など熟知している部分は多い。デンマーク、オーストリアも侮れない相手になりそう。

 日本は、昨年の世界選手権トップディビジョンで8カ国中最下位に沈み、ディビジョンⅠに降格。今回の世界選手権はすでに1年を切っている平昌五輪へ弾みを付けるのはもちろんだが、5年後の中国北京五輪の出場権に反映される世界ランキングを考えた場合、条件を整える重要な位置付けだ。FW大澤ちほ主将(道路建設ペリグリン)は「最終予選、アジア大会でできた得点力をしっかり発揮したい。全体のコミュニケーションを今まで以上に密にしていきたい」と意気込む。

■世界選手権の試合日程
対ハンガリー=15日午後4時30分~(午後11時30分~)
対デンマーク=16日午後1時~(午後8時~)
対ノルウェー=18日午後1時~(午後8時~)
対オーストリア=20日午後8時~(21日午前3時~)
対フランス=21日午後4時30分~(午後11時30分~)
※試合開始は現地時間(日本時間)

代表に新たな風吹かせる 森竹「しっかり準備を」、獅子内「泥臭くゴールに」

 女子アイスホッケー日本代表初選出となったFW森竹留那(24)と、代表復帰を果たしたFW獅子内美帆(24)=いずれもトヨタシグナス=。五輪出場を決めたスマイルジャパンに新たな風を吹かせる2人にそれぞれの思いを聞いた。

 「うまい選手がいる中で選んでくださってうれしいけれど、プレッシャーもある。こんな私でいいのかな」―。期待と不安が入り交じった森竹の率直な感想だ。

 18歳以下の日本代表でトップディビジョンを経験し、2014年秋に代表候補の合宿に参加。15年の冬季ユニバーシアードでは銅メダル獲得を経験した。その後、腰のけがもあり、呼ばれていた代表候補の合宿を一度辞退。以降、声が掛かることはなく「もうないんだな」と思っていた。

 そこからはトヨタを日本一にするために力を注ぎ込み、仕事と競技を両立しながらプライベートの時間を割いて、自主トレーニングにも意欲的に取り組んだ。自らのレベルアップだけでなく、チームの成績も徐々に上向いた。「自分の時間を削ってでも、できるんだな」と改めて実感した。

 そして今回、地道な努力が一つの形として実を結んだ。持ち前のスピードもさることながら、山中武司監督から泥臭いプレー、守りの要素を買われてチャンスがめぐってきた。異例の大抜てきだ。

 代表とは懸け離れた場所から、スマイルジャパンの成長を目で見て感じてきた。「システムやパスレシーブもちゃんとできているし、練習していることが試合でできている。そこにいきなり私が入る」。正直、不安はある。だが、それ以上に「世界でどれだけできるか。しっかり準備して臨む」と自分の力を試してみたい思いが勝る。

 「うまく行けば自信になると思うし、付いていけなかったらもっと頑張ろうと思うはず。まずは五輪よりも世界選手権でどれだけできるかをしっかり感じ取って、今後につなげたい」と気持ちは高鳴る。

    ×   ×

 獅子内にとっても、今回の世界選手権は特別な意味合いを持つ大会になる。「五輪を決めてうれしい気持ちと、悔しい気持ちがある。その悔しい気持ちをぶつけたい」

 ソチ五輪の日本代表。その後、フィンランドで2年間プレー。代表でも常連で名を連ね、自らを磨いてきた。しかし、昨年末のチェコ遠征の時点で落選。2月の五輪最終予選はリザーブメンバーとしてチームに帯同し、歓喜の瞬間はスタンドで見ていた。その時に「私のために『頑張るから』って言ってくれた」多くの仲間がいた。同僚でこれまで苦楽を共にすることが多かったFW藤本もえこ(24)が駆け寄ってきた時には思わず涙があふれた。仲間がつくってくれたチャンスを今度は生かす番だ。

 自分に足りないものは何なのかを突き詰めた時、たどり着いた答えが、ゴール前での泥臭いプレーだった。「あまりガツガツしたプレーヤーではなかった。でも、もっと貪欲にいけたらと思っています」。かつて輝きを放ったゴール前で、自らの殻を破るため今、必死にもがいている。

 「FWなので、点数を取らないと勝てない。周りに『変わったな』って思ってもらえるように。泥臭く、どんどんゴールに向かう」。得点でチームを勝利に導き、真のポイントゲッターに生まれ変わる。



PAGE TOP