苫小牧のニュース

増える認知症患者 支援の動きも

(2010年 3/9)

 認知症患者が東胆振地域でも急増していることが、苫小牧保健所(管内1市4町)のまとめで分かった。認知症を中心とする脳器質性精神障害者数は1998年から10年間で12倍という。高齢化を背景に、この傾向は続くとみられるが、介護資源の不足や病気への偏見など課題は少なくない。

 突然、家を飛び出す。真夜中に部屋の中をうろうろし、庭や部屋の隅で用を足したり…。苫小牧市内の70代の女性は7年間、自宅で認知症の夫を介護した。おかしな言動が目立ち始めたのは80歳に近づいてから。「優しく接しないと駄目だと思っていても、気持ちが抑えられなくなるんです」。夫が変わってしまった現実、介護疲れも重なり、「死」を意識した瞬間もあったという。

 苫小牧保健所が通院費を軽減する自立支援医療の申請や、医療保護入院届けから推計した数は、管内の脳器質性精神障害は98年の44人から、2003年で109人と初めて100人台に到達。08年は545人に上った。

 アルツハイマー病の認知症327人、脳梗塞(こうそく)などによる血管性認知症87人、その他131人。545人の内訳だ。「精神科につながった数字。内科の診療だったり、医療機関に掛かっていない場合は把握できていない」と保健所。実態はさらに多い、とも。

 女性の夫は昨春から特別養護老人ホームに入所した。申し込んで1年半ほど待った。「施設に入れてよいのか。葛藤(かっとう)はあったけど、周りの勧めもあったから。わたしはまだ幸せな方。介護サービスが利用できない人もいると聞く。一人で介護するのは、本当に大変」と話した。

 苫小牧市介護福祉課によると、市内23カ所の認知症対応グループホームは7月末時点で、待機者は105人を数える。施設の増設を計画しているものの、待機者全員の希望に応えるのは難しい、という。

 力を入れるのが認知症への理解啓発。正しい知識を持ち、日常生活の中で認知症への偏見を和らげる人材を、「認知症サポーター」と呼ぶ。介護施設職員らで構成する苫小牧認知症キャラバン・メイト連絡会と市が連携し、サポーターを養成している。

 昨年12月、苫小牧信用金庫の役職員が養成講座を受けた。職員約270人がサポーターの証しオレンジ色のリングを手首に着け、業務を行っている。市によると、10年2月末で市内のサポーターは1518人。連絡会の岩田典一会長は「認知症は病気。ただの物忘れとは違い、早めに専門機関につながることが大事。正しい知識を持つ人が増えれば、それだけ住みやすい環境ができる」と訴えている。