苫小牧のニュース

苦境のすし店救った手打ちそば

(2009年 11/23)

店を救った手打ちそば

 回転ずし隆盛の時代。苦境の専門店を、手打ちそばが救った。苫小牧市明徳町の「金太郎寿し」。本格的手打ちそばは今や、すしと並ぶ看板メニューだ。その影に、そば打ちを見守る師匠の温かい応援があった。

 店は32年前にオープンした。店主の城戸弘さん(57)は幼いころに患った小児まひの後遺症で、体が不自由だ。妻の美年子さん(54)が支え、二人三脚で営んできた。

 家族連れなどでにぎわい、地域住民に親しまれてきたものの、10年ほど前から経営が厳しくなった。続々と登場する回転ずし店。客足が落ちた。そのころ、美年子さんも体調を崩す。景気の悪化も加わり、危機感はさらに増した。

 「このままでは立ち行かなくなる」。そんな思いが脳裏をかすめた。苦境から抜け出す思案の日々。たどり着いたのがそばだった。「中高年層に人気の手打ちそばもメニューに」。早速古くからの知人で、地元のそば愛好会メンバーの松崎美智子さん(69)に弟子入りした。2年前のことだった。

 松崎さんも指導を快く引き受けた。自宅を教室に、ソバの実を石うすで引いて粉にする、最初の作業から熱心に教えた。55歳の城戸さんにとって初体験。客に喜ばれるプロの味を、の思いで連日修行した。

 どうにか満足のいくそばを打てるようになったのは数カ月後。店の常連客に試食してもらい、「これなら大丈夫」と客は太鼓判を押した。努力は報われた。

 すしと、そばのセットが人気だ。そば好きの中高年の客が店を訪れてくれるようになった。経営も徐々に上向き、美年子さんも元気を取り戻した。「人の心の温かさを実感しました。本当にありがたいことです」と城戸さん。師匠の松崎さんも目を細めた。